CREATIVE DIRECTOR
SHINSUKE MATSUDA

働き方をもう一度、動かしたい。

ゴールは「空間」ではなく、「空間で生まれるより良い結果」をつくること

クリエイティブ・ディレクターの仕事は、まずお客様と対話し、お持ちの施設や空間が抱えている課題を見つけるところから始まります。形としてのデザインを考えながら、単に見た目を良くするだけじゃなく、その課題の「アンサー」になっていないと。きっとお客様のゴールは、空間を得ることじゃないんです。その空間で何が起こるのか、ユーザーがどう心を動かすのか、そこが真のゴール。だからそのゴールを達成するための、「なにか」を思いつくまで考えます。時にはナナメ上からくるアイデアを採用することもありますが、お客様に「そんなこと考えもしなかった!」と驚かれる提案でないと、たぶん面白くない。面白さこそ人を動かすチカラだと思っています。

空間づくりだけに限ったことではないけれど、求められるのは、どういう「空間」があるかより“どういう「体験」ができるか”ということ。スペースパートナーズの新しいオフィスも、これまでのオフィスにはなかった体験価値を探しています。

働き方を動かし続ける、そのエンジンが「WOOPS」です

新オフィスの名称は、〈WORK ARENA YŌGA〉です。社員が躍動し、イキイキとクリエイティブな活動が行われる「アリーナ」のような場にしたいと考え、そんな名前にしました。

この「WORK ARENA」というコンセプトに至ったのは、「働き方をもう一度動かしたい」という想いから。ABWを導入しても、いつの間にか席が固定化してしまったり…やっぱり空間だけを作って、従業員の皆さんに「はい、使ってください」と渡しても、結局いつか硬直化してしまう実感があったもので。

だから今回のオフィスリニューアルでは、「WOOPS」という社内オペレーションチームをあわせて提案しました。「Work Space Operators」の略で、オフィス内で主体的に活動や発信を行い、社内のコミュニケーションやアクションを活性化させる役割を担ってもらう。いつも同じ所に座っている人の気分を変えたり、イベントを企画したり。活動イメージとしては “おせっかい”な面もありますが、そのように常に顔を見せていることが、働き方を動かし続けるエンジンとなり、エンゲージメントの“対象”として機能するのではないかと。そこまで運営にリソースを割いているオフィスの試みは、あまりないんじゃないかと思います。

次に必要なのは、従業員から「愛されるオフィス」

アフターコロナというフェーズでは、オフィスとワーカーの関係が変わってきていると思うんです。かつてのオフィスは絶対に行かなければならない場所だった。しかし今は必ずしも行く必要がないなかで、オフィスはもっとワーカーをもてなし、愛されないといけません。オフィス不要論は常に挙がりますけど、やっぱりオフィスは会社そのものですから。無くすと、きっと会社の「求心力」に影響がある。

「愛される場所」を目指すなかで、WOOPSには、WORK ARENA YŌGAのシンボルとして機能することを期待しています。おせっかいだけど、毎日みんなに寄り添い動き、時にはワクワクするような体験を創出する。少なくとも「愛着」が生まれるはずです。

お客様のオフィスでも、フツーの総務さんとはちょっとちがう、WOOPSのようなフレンドリーなチームはきっと機能すると思うんです。今後そのノウハウが必要とされるかもしれません。そのときはたくさんのアイデアをもって、全力でお応えしたいです。